中華民国の「国籍法」は、国籍単一の原則に準ずるものであるが、華人の子孫である外国籍の人であれば二重国籍を認め、帰化申請をせずに中華民国の公民権を取得することができる。しかしながら、公職に就く場合に限り、就任前に外国の国籍を放棄しなければならないこととなっている。
中華民国憲法は、外交は「平等互恵」の原則にのっとると定めている。個人は国家に対し忠誠義務を尽くさねばならないことを鑑みると、華人の子孫でない外国人が、帰化して中華民国の国民となるには一律に原国籍を放棄しなければならないと制限している一方で、逆に華人の子孫である外国人に二重国籍を認め、中華民国に忠誠義務を尽くすことを求めないということは、矛盾をはらむ恐れがある。
外国人に中華民国国民への帰化を奨励するには、現行の「国籍法」の関連規定の条件緩和を検討してもよいであろう。これにより、華人の子孫でない外国人でも、二重国籍が保持できるよう規制緩和もできるのではないであろうか。